【ことばの海】同じ痛みを痛もうとする者の闘い  津村記久子著『君は永遠にそいつらより若い』(ちくま文庫)

「ことばの海」は、みなさんと分かち合いたい本や映画作品などのコンテンツを紹介するコーナーです。
プラネチカ編集部 2026.07.04
誰でも

 理不尽な暴力の被害に遭った人のために、他者ができることはあるのか。誰かがつらい経験をしたのに、そこにいっしょに居てあげられなかったという「申し訳なさ」と、どう折り合いをつければいいのか。登場人物の一人の「そこにおれんかったことが、悔しいわ」という言葉が、この小説の核にある。

 主人公は、京都でひとり暮らしをする大学4年生のホリガイ。単位はすでに全て取り、就職先も決まっている彼女は、どこかぼんやりとした生活を送っている。

 物語はホリガイの自虐的ともいえる語りで進んでいく。性体験がない自分を「不良在庫」と呼び「わたしが並外れて不器用なのは、わたしの趣味のせいではなくわたしの魂のせいだ」と思っている。そんな語りの中から、ホリガイの心の奥底にあるものがちらちら顔を出す――。

  虐げられた者、何かを損なわれた者と、同じ痛みを痛もうとする主人公の孤独な闘いが描かれる。2005年、27歳だった津村記久子のデビュー作。(文)

無料で「プラネチカ 性暴力を考えつづける」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら

誰でも
【今週の注目記事】性暴力被害者に「なぜ逃げなかった」と聞く残酷さ理解す...
サポートメンバー限定
【プラネチカ・リポート】アート界の“神話”が加害を正当化していないか?...
誰でも
【今週の注目記事】性犯罪のPTSD、強制性交・不同意性交に「致傷」付け...
誰でも
【今週の注目記事】被害200人以上か NPO職員逮捕 /東京都教委が教...
サポートメンバー限定
【シリーズ#声の軌跡-メディア組織と性暴力・対談後編】トラウマインフォ...
誰でも
【今週の注目記事】JR東日本で盗撮被害「うちではよくある」 問われる組...
誰でも
【シリーズ#声の軌跡-メディア組織と性暴力・対談前編】被害者の声から出...
誰でも
【今週の注目記事】「助けてあげる」に潜む罠... /「今はチャッピーも...