わたしたちは、まだ、旅の途中。

急げない日があります。話せない日があります。それでも、性暴力について考えることをやめたくない――そんな仲間がいつでも戻ってこられる場所になりたい。これは、わたしたちが考える公共性についての、最初の宣言です。
性暴力を考えつづける編集部 2026.07.07
誰でも

このプラットフォームをつくると決めたとき、わたしたちは最初の記事を何にするか、ずいぶん話し合いました。

性暴力に関するニュースでしょうか。

被害当事者の手記でしょうか。

あるいは、この場所が目指す社会像についての宣言でしょうか。

そのどれよりも先に、書くべきものがあるのではないかと考えました。

それが、この場所のグラウンドルールです。

少し意外に思われるかもしれません。

わたしたちにとって、このルールは、ただの「運営上の決まりごと」ではないのです。

どのような社会を目指すのか。

どのような公共性を育てたいのか。

そのために、自分たちはどのような関係を結ぶのか。

その約束そのものを書き留めたものです。

性暴力は、人の境界線を侵害する出来事です。

だから、性暴力について考える場もまた、境界線を大切にする場所でありたいと思いました。

ここは、「もう大丈夫な人」のための場所ではありません。

「すぐに声を上げられる人」だけの場所でもありません。

話したくない日があります。

返事ができない日があります。

ニュースを読むことさえ苦しい時間があります。

それでも、性暴力について考えることをやめたくない。

誰かが考えつづけていることを感じていたい。

そう思う人がときどき立ち寄り、戻ってこられる場所をつくりたい。

それが、このプラットフォームの出発点です。

この場所には、被害当事者だけではなく、家族や友人、ジャーナリスト、研究者など、さまざまな立場の人がいます。

経験も違えば、時間の流れも違います。

仕事のやり方や文化も違います。

痛みの感じ方も違います。

もしかして、昨日の自分自身とも、どこか少し違っているかもしれません。

この場所では、誰か一人が正しさを教えるのではありません。

それぞれが少しずつ違うこと、変わっていくことを、大切にしたいのです。

変わることは、美しい。

けれど、その役割を、被害者だけに背負わせる社会ではあってはならない。

研究者も、ジャーナリストも、被害者のまわりにいる人も。

それぞれが自分の境界線や振る舞いを見つめ直していく。

わたしたちは、そのための対話を育てたいと思っています。

この場所では、急ぐことを美徳にはしません。

「今すぐ」の圧力を、誰かに強制しません。

やせ我慢を称賛しません。

誰かの経験を、自分の成果のためだけに使いません。

話したことだけではなく、話さなかったことにも敬意を払います。

意見が変わることを恥じません。

「ここだけの話」を、ここだけの話として守ります。

そうした小さな約束の積み重ねが、きっと、安心して考えつづけられる公共性をつくると信じています。

いっぽうで、わたしたちは、完成された公共ではありません。

ここは、公共へ向かう途中にある場所です。

だから、このグラウンドルールも完成したものではありません。

対話を重ねながら、必要があれば書きかえていきます。

変わることを恐れないこと。

それもまた、この場所の大切な約束です。

性暴力について考えること。

これは本来、被害を受けた人だけが担うべき仕事ではありません。

社会全体の仕事です。

だから、この場所もまた、被害者だけが支える場所にはしたくありません。

考えることを、一人の仕事にしない。

変わることを、誰か一人の責任にしない。

そのための、小さな公共をここから育てていきます。

もしも、あなたが、いつも元気ではないけれど、それでも考えつづけたいと思っているなら。

どうぞ、ときどきここに、立ち寄ってください。

読むだけの日も

休む日も

また戻ってくる日も

わたしたちは、そのたびに

「おかえりなさい」と言える場所でありたいと願っています。

〈「#性暴力を考えつづける」編集部一同〉

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